喪服・礼服を安く借りる

兄の話です。まもなく還暦を迎える兄は、独身ですが、弟は３人の子宝に恵まれ既に成人し、めでたく結婚式をする事になりました。

 

身体も横に大きくなった兄は、礼服を借りる為、「洋服の青山」に結婚式前日の夜向かいました。妹である私も、母もその選択は賢いと思い、礼服を借りる事ができて良かったと思っていました。

 

当日朝からみんなそれぞれバタバタし、女性陣は着物を着て、男性陣の格好に構う時間がありませんでした。父は「白いネクタイは何処か」とか、騒いでいる中、母が兄の異変に気が付きました。

 

借りてきた礼服がなんと、親が着用するであろう燕尾服でした。上着のお尻が少し長く、二つに分かれている、燕尾服です。

 

確認しなかった兄もどうかと思いますが、貸し出した方もきちんと確認したのか、疑問でした。兄も息子が結婚するとは、言わなかったと思います。ただ、兄にも知識がなく、そういうものなのかと受け入れた節はありました。

 

あわてて弟の礼服を、弟嫁が自宅に取りに帰り、サイズは少しきつかったものの、なんとか格好はつける事ができました。主役の両親ですので、忙しくしていたところです。

 

おそらく息子の結婚式だったので、なんとか間に合ったと思います。娘の結婚式であれば、両親はもっと早く家を出ていた事でしょう。そして親類に似たような体形の人物が居なかったら、兄はどうなっていたのかと思います。

 

兄は、妹の私の結婚式でも「お父様こちらへ」と言われてしまうほど、老けてはいますが、まさか燕尾服を男性一人で借りに行くとは思えず、通常結婚式場で借りる事が可能でしょうし、前日に借りに行くというのも、不自然な気がします。

 

お店の人には、衣装合わせをする際に会話を交わして、不自然なところを見抜いてもらいたいなと思いました。